【症例】臀部、股関節周囲の強い痛み

先日、臀部、股関節周囲に強い痛みを持つ40代、男性の患者さんを診てきました。

症状は・・・

1週間ほど前に普段は歩かない長距離を歩き、その翌日から症状が出た。
2日ほど前からは夜中もジンジンと痛み何度か起きるようになった。
痛みの中で最も強いのは腸骨稜と臀部全般。
腰はそれほど気にならない。
歩いていると時々、右側腸骨稜に鋭い痛みが走り倒れそうになる。
静止時、動作時関係なく痛みが出る、がほとんど感じない時もある。


(※)真ん中の写真は左側になっているが右側のこの部分になります

静止時に痛みが出るということと鋭い痛みが走る、そして夜間痛があるという症状から
本来なら内科的なことも含めて病院できっちりと検査をした上で施術を行いたいところですが
実は、症状が出だした頃に1度整形を受診したそうで、その時は「骨に問題ない、湿布を出しておきます」で終わったそうです。
Drによっても診断力が違うのでとりあえず今回、身体に全く負担をかけない施術をかけてみて、それでも症状が悪化するようなら再度、別の病院で診て貰う事をオススメしました。

まずは筋肉の原因から探ることに。
腰部、臀部のトリガーポイントを触診。
とりあえず腰、臀部、下肢の痛みの場合は以下の筋肉を入念に診ておけば99%は主原因が見つかります。

入念に触診をしたところ、腰方形筋の内側部のライン(腰方形筋が横突起に付着する部分)で腰椎4番、5番辺りの高さに鋭敏なトリガーポイントが見つかりました。
軽く圧したところ、まさに今抱えている痛みが再現しました。
さらには腸骨稜の真下にも鋭敏なトリガーポイントを発見。
ただメインは腰方形筋の方だと確信しました。

早速疑わしいポイントに適量な施術を加えることに。


実は、120%の施術効果を出すために最も大事なのは、正確に施術ポイントを探し出す触診技術
そしてもう一つ、同じくらい大事なのが加える刺激量=施術量になります。

言わば薬の量が多すぎると直後効果はクッキリ出ますがその後、何かと厄介な症状を引き起こすことが多くなります。
例えば、今までに無い別の痛みやしびれが出た、とか、また直ぐに元に戻った、とか・・・

1番理想的なのは、施術直後は「何となくよくなったような・・・」と言う感じで4~50%ほどの改善を感じて貰い
翌朝起きた時に、「あれ!?痛く無いぞ~!すごいぞ~!!」と喜んで貰えるような
ゆっくりとした変化が一番安全に回復し、且つ持続効果が最も期待できる経過になります。

具体的にトリガーポイント療法で言うなら、1つの施術ポイントに対して痛く無い程度に圧を加え、そのまま10~15秒ほど静止。
その後、ゆっくり指を浮かせ、再度圧を加えていきます。
これを1ポイントにつき5回ほど繰り返します。
この時、痛みが消えていないからと言って必要以上に施術を繰り返さないのがポイント。
施術によって痛みの悪循環が切断され、実際に痛みが緩和するまでには時間がかかります。
ですので、全てのポイントに施術を加えた後、再度最初のポイントに戻り以下を確認します。

一番はじめに圧を加えた時の痛みのレベルを10とした時、施術後(直後ではなく一通り全てのポイントに施術を加えた後)どれくらいのレベルにまで
痛みの閾値が上がっている(痛みを感じにくくなる)のか?
目安としては、痛みのレベル10→4or3(-6or-7)位がベスト。

以上の筋肉に対するアプローチが終わったら次に、関節の問題を探っていきます。

医師でない私たちが対処できる痛みの原因(痛みを放つ元)には、筋肉と関節があります。
ほとんどの患者さんは、これら2つの原因が絡み合って症状が増強されます。
ただし、それぞれの原因が痛みに関わる割合は症状によって様々です。

例えば、ギックリ腰直後などは、仙腸関節に対するアプローチのみで完全回復するケースもよくあります。
また逆に、関節へのアプローチではほとんど改善の兆しが見えず、トリガーポイントへのアプローチで劇的に改善するというケースも多々あります。

ここで大事なのは、患者さんにとってはどっちが原因かは問題ではありません。
「すぐに痛みをとって欲しい」ので、施術の際は、1つの原因の取りこぼしが無いように筋肉、関節、両方を丁寧に触診し原因を探っていきます。

今回の患者さんの場合、右・上後腸骨棘に痛みまでは行かないが圧した時に違和感があるとのこと。
この違和感が異常なのかどうかを見極めるには、左右差を比較すれば直ぐに判断ができます。
今回は左側には全く違和感を感じない、と言うことだったので、おそらく右・仙腸関節内に炎症が起こっていることが予測ができます。
こうした関節内に炎症が起こっている場合は、極々弱目に、かつ回数も極力少な目に行い、関節への負担を極力減らすことが重要になります。
もしも必要以上に関節に刺激を加えてしまうと、炎症が悪化し、しびれなどの症状を下肢に放つこともあります。ご注意を!

仙腸関節に対して4つのアプローチを両側に行い、更に、第11,12肋椎関節、股関節、椎間関節にもアプローチを行いました。

施術後の可動域検査では、明らかな改善が見られました。
ですが症状の改善は100%ではなく、痛みの軽減と可動域の増大など6~7割くらいの改善といった感じ。
その後の経過予測がつかなづに6~7割の改善といった結果が出たらおそらく焦るでしょうが
「これくらいの改善度合いでOK、あとはゆっくり回復していくだろう」
という予測がつけば全く動揺はありません。
もちろん、患者さんにもきちんと説明をしておきます。

最後に腰と股関節のエクササイズをお教えし、「今日から動かして下さい!」とお伝えしました。
これまでの痛みの治療、特に急性期に関しては教科書的には「安静」が常識とされていました。
ですが、これまでの臨床経験上、身体に対して負担の無い施術であれば、できるだけ早い段階で施術を行った方が改善は明らかに早いと断言できます。

念のため翌日に再度診せて貰うか、良くなっていれば診せて頂かなくてもいいですよ、とお伝えし帰宅して貰う。
翌日、お昼ごろにメールが届き、

「若干お尻に痛みというか余韻は残るものの鋭い痛みは消えました。夜も痛まなかったのでこのままで大丈夫でしょうか?それとも見て貰った方がいいでしょうか?」

強い痛みの症状を持った患者さんの場合、筋肉全体が硬く緊張し、かつ痛みに敏感になっていることがよくあります。
ですので弱い施術を行ったつもりでも、その時の緊張した身体にとっては強い刺激量と感じることがあります。
施術翌日の「余韻」というものが施術によるものなのか、それとも元々あった痛みの取りこぼしなのかはもう2日ほど待てばハッキリ分かると思います。
余韻であれば、自然と消えていくし、取りこぼしであれば地味に痛みを放ち続けるでしょう。
その時は再度原因を潰しにかかります。

とにかく丁寧に原因を探し、そして丁寧に施術を加える。
これだけです(^^)

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